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ノウハウ デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?定義意味などをわかりやすく解説。DX推進に向けた法律改正も

更新日:2024年03月27日

投稿日:2020年09月3日

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?定義意味などをわかりやすく解説。DX推進に向けた法律改正も

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?定義意味などをわかりやすく解説。DX推進に向けた法律改正も

デジタル技術をビジネスに活かす、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が思うように定着せず、進め方から見直したいと思っている人は多いのではないでしょうか。

 

本記事では、DXの基本的な説明から推進方法、成功事例、DX化に関連する法改正など、DXを効果的に進めるにあたって、押さえておきたいポイントを紹介します。

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デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?定義と意味

そもそも「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは、どのような意味を持ち、具体的に何をすることを指すのでしょうか。デジタルトランスフォーメーションを進める前に、まずはその定義と意味を確認してみましょう。

広い意味でのデジタルトランスフォーメーション(DX)

デジタルトランスフォーメーションとは、2004年にスウェーデンのウメオ大学教授である、エリック・ストルターマン氏が提唱した概念です。「デジタル技術が浸透することで人間の生活のあらゆる面で引き起こす、あるいはよい影響を与える変化」を指します。とても広い概念で、社会全体の変化を捉えている言葉です。

経済産業省定義のデジタルトランスフォーメーション(DX)

一方で、ニュースや会議の場において、デジタルトランスフォーメーションを用語として用いることも増えてきており、そうした現実的に使われる機会での、意味や範囲はもっぱら狭められて使われます。

例えば、ビジネスシーンにおけるデジタルトランスフォーメーションは、「競争優位性を確立する」という観点により、デジタル社会の変化に対応した企業が、AIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務を変革する抜本的な取り組みを指します。

経済産業省が公開しているガイドラインでも、近しい文脈で定義がなされており、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」とまとめられています。

参照元:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」

また、情報処理推進機構(IPA)では「AI や IoT などの先端的なデジタル技術の活用を通じて、デジタル化が進む高度な将来市場においても新たな付加価値を生み出せるよう従来のビジネスや組織を変革すること」と説明しています。

参照元:IPA「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査

具体的にいえば、デジタル技術の活用によって、事業におけるコスト削減や生産性の向上を図ったり、データを活用するためのシステム整備を行い、ビジネスモデルそのものを変革したりすることだと言えます。これにより、企業は競争力を獲得し、ビジネスで生き残れる確率が高くなると考えられます。

近年、デジタルトランスフォーメーションは、IT化(デジタル化)そのものだという説明も増えてきていますが、「デジタル化が進む高度な将来市場においても、新たな付加価値を生み出せるよう、従来のビジネスや組織を変革すること」までを含め、デジタルトランスフォーメーションであることを押さえておきましょう。

デジタルトランスフォーメーションの関連語と違い

デジタルトランスフォーメーションと混同されがちなものに、「IT化」や「AI活用」があります。

これらはデジタルトランスフォーメーションと異なる意味を持つ言葉であるため、具体的な違いについて知っておきましょう。

DXとIT化の違い

IT化とは、従来の業務にデジタル技術を取り入れて効率化やコスト削減につなげることを指します。

例えば従来は紙で作成していた契約書を、電子契約システムで電子化する(ペーパーレス化)といった取り組みもIT化です。

 

デジタルトランスフォーメーションは「デジタル技術でビジネスモデルを変革する」というスケールの大きな取り組みですが、IT化はビジネスモデルはそのままで「業務効率化につなげる」ための取り組みという点が大きな違いです。

 

なお、デジタルトランスフォーメーションの一環としてIT化を実施する場合もあります。

DXとAI活用の違い

AI活用は、人工知能によるデータ分析や予測・自動化を活用して業務の効率化や工数の削減につなげる取り組みです。

AI活用もIT化と同じく、デジタルトランスフォーメーションを推進させるための手段として挙げられます。

デジタルトランスフォーメーションに向けた3つのステップ

デジタルトランスフォーメーションを推進させるためのステップは、大きく3つに分けられます。

順番に決まりはありませんが、デジタイゼーション・デジタライゼーション・デジタルトランスフォーメーションの順に取り組むとスムーズに進めやすくなります。

 

以下より、各ステップの詳細について解説します。

デジタイゼーション

デジタイゼーションとは、アナログ・物理データをデジタル化することです。

紙で作成した顧客リストをデータベース化したり、手作業で行っていた業務を自動化させたりします。

 

アナログ・物理データでの運用が原因で生じていた、業務の効率低下・従業員の負担増大といった問題を解消するステップです。

デジタライゼーション

デジタライゼーションは、社内外の様々な組織で協力しながら、業務や製造プロセスの全体をデジタル化させることです。

デジタイゼーションよりも規模が大きい取り組みで、一般的には第二段階として行い一連の業務プロセスにおける生産性を向上させます。

デジタルトランスフォーメーション

本記事のテーマでもあるデジタルトランスフォーメーションは、デジタイゼーション・デジタライゼーションを経て辿り着ける1つの到達点と言えます。

 

業務フローやプロセスのデジタル化を通じて培われたノウハウを自社製品・サービスへ取り入れ、従来はなかった新しい付加価値を提供できるレベルを目指します。

これこそが、「デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革」です。

経済産業省が「DXレポート2」発表 進まぬDX

では、実際に企業における、デジタルトランスフォーメーションの取り組み状況はどうなっているのでしょうか。経済産業省が2020年12月28日に発表した「DXレポート2」によると、2020年10月時点において、回答した約500社のうち9割以上の企業が、デジタルトランスフォーメーション未着手か、実施途上であることが明らかになりました。このレポートでは、「日本企業における、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みは、まったく不十分なレベルにある」と明記されています。

また、新型コロナウイルスの影響を経た結果、「ITインフラや就業ルールを修正して迅速・柔軟に環境変化に対応した企業と、そうでない企業とで、差が広がっている」とも指摘されています。迅速な対応で、デジタル競争に取り残されないようにすることが大切です。

参照元:D X レポート 2 中間取りまとめ

 

さらに、IPAが2019年5月に公開した、アンケート結果も見てみましょう。この結果によると、約6割の企業が「従来のビジネスのままではいけない」という危機感を持ち、既存ビジネスの変革や新ビジネスの創出の必要性を、非常に強く感じていることがわかりました。しかし、競争力を獲得するために、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる企業は、全体の4割強でした。

規模別で比較してみると、従業員1,000名以上の大企業では約8割が取り組んでいるのに対し、従業員300名以下の中小規模の企業では取り組み比率が低くなっています。従業員100名以下の企業ではたった3割以下の取り組み比率であり、企業規模によって格差が明るみに出ています。

また、「実際に取り組んでいる」と答えた企業に、具体的な取り組み内容を尋ねたところ、「業務の効率化による生産性の向上」がもっとも多く78.3%、次いで「既存製品・サービスの高付加価値化」が56.5%、「新規製品・サービスの創出」が47.8%であることがわかりました。この調査結果からは、「現状のままでは生き残れない」という危機意識を持ちながらも、実際にデジタルトランスフォーメーションに取り組み、新サービスの創出まで至っている企業は、それほど多くない状況が見受けられます。

 

参照元:デジタル・トランスフォーメーション推進人材の 機能と役割のあり方に関する調査

 

同調査では、各社の回答から得られた知見を「DXの成功に向けた原則」としてまとめ、デジタルトランスフォーメーションを成功させるためには、失敗を恐れずに挑戦を始めること、成功するまで挑戦を続けることが重要だと指摘しています。

「2025年の崖」とは

「DXレポート2」でも触れられていますが、経済産業省が2018年に公開した「DXレポート」では2025年の崖問題について警鐘を鳴らしています。

2025年の崖とは、「DXを推進しないことで2025年に大きな経済損失が生じる可能性」を指す言葉です。

 

DXを推進しないままではデジタル競争が激化する市場に適応できず、著しい競争力低下を招きます。

その結果、日本では年間で最大12兆円もの経済損失が発生すると予測されています。

『DX白書』からわかる日本のDXの現状

DX白書とは、2021年から情報処理推進機構(IPA)が発行しているDX推進に関わるレポートです。

国内におけるDXの現状を読み取ることができます。

参考:「DX白書2023」|情報処理推進機構

国内企業のDX化の進捗状況

2022年度の調査結果では、日本国内でDXに取り組んでいる企業は合計で69.3%となっています。

2021年から13.5%増加しており、70%後半をキープしている米国企業との差が少しずつ狭まっていることが分かります。

 

とはいえ、「全社戦略に基づいて取り組んでいる国内企業企業」だけに絞ると54.2%と半分を少し超える程度の割合となっており、全社的なDXの進み具合は良いと言えない状況です。

国内企業が抱えるDXの課題

国内企業のDXが後れを取っている原因としては、以下のような課題が挙げられます。

 

・多くの企業で経営陣がDXの必要性を理解していない

・複雑化・肥大化したレガシーシステムを抱える企業が多い

・IT人材の不足

 

また、顧客ニーズ・自社と技術の適合性が不確実な中で推進することになるDXは、継続してPDCAサイクルを回つつ状況に応じて柔軟に対応していく、アジャイル的な体制が不可欠です。

しかし日本では、海外に比べてアジャイルの考え方が浸透していません。

DXを推進しようにもうまくいかない、または損失を恐れて取り組みに躊躇する企業が多いことも原因として考えられます。

デジタルトランスフォーメーションのメリット

デジタルトランスフォーメーションを推進することで、企業は以下のようなメリットを得られます。

社会課題の解決になる

社会的な課題や消費者のニーズが多様化する現代、企業競争力を確保するには常に社会の変化を察知しながら、その状況に合わせた戦略を講じる必要があります。

DXを推進すれば、デジタル技術を駆使して社会課題や消費者ニーズを的確・迅速に把握できます。

働き方改革につながる

DXの推進に伴い、デジタル技術で業務の効率化・負担軽減といった効果も現れます。

そのため労働時間や残業時間の短縮につながるだけでなく、デジタル技術を活用しているからこそテレワークも推進しやすくなり、自社の働き方改革を実現できます。

生産性が向上する

業務にデジタル技術を取り入れることで、コピーアンドペーストといった定型的な作業の自動化やペーパーレス化による業務フローの短縮にも期待できます。

これにより業務のスピードを上げると同時に、ヒューマンエラーのリスクも回避できるため自社内の生産性が大幅に向上します。

BCP対策につながる

BCPは「事業継続計画」のことで、自然災害やパンデミックなどの緊急事態に被害を最小限に抑えながら、事業を継続させる対策をBCP対策といいます。

DXを推進させれば有事の際もリモートワークへスムーズに移行でき、各従業員の安全を確保しながら従来と同様に事業を継続させることが可能です。

デジタルトランスフォーメーションのデメリット 

デジタルトランスフォーメーションは様々なメリットがある一方で、以下のようなデメリットがある点も理解しておきましょう。

コストがかかる

DXを推進するにあたって、新たな機器やシステムを導入する必要があります。

場合によっては高額な初期費用がかかる他、機器やシステムを維持するためのランニングコストも発生します。

IT導入補助金などの制度などを活用しながら、「ビジネスモデルの変革・優位性の確保」という価値を踏まえて予算を定めることが大切です。

全社規模の協力が必要不可欠

DXを推進するには、社内全体の協力も不可欠です。

経営層や情報システム担当者だけではなく、各部門に生じている課題や従業員たちの要望も取り入れながら、全員が同じ方向を見て取り組まなければなりません。

そのためにはDXの目的・方針を明確にしたうえで、すべての社員にDXの必要性を説明して協力を依頼する必要があります。

すぐに結果が出ることはない

DX推進に取り組んだからといって、数ヵ月や1年程度と短期的に結果が出るわけではありません。

DXを成功に導く手段は企業ごとに異なるため、数年程度の期間を要することを覚悟のうえ効果の測定と改善を繰り返しながら、根気よく取り組み続ける必要があります。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の進め方

 

それでは、具体的にどのようなステップで、デジタルトランスフォーメーションを進めていけばよいのでしょうか。

ここでは、経済産業省のガイドライン「デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン (DX 推進ガイドライン) Ver. 1.0」を基に、デジタルトランスフォーメーションの進め方を解説します。同ガイドラインでは、先行事例や失敗ケースも紹介されているため、参考にしてみてください。

プロセス1:DXの目的を決定

デジタルトランスフォーメーションを進める上で、最初に行うべきことは「目的の決定」です。デジタル技術の導入そのものが目的にならないよう、「導入して何を行いたいのか」という明確な目的を立てましょう。

目的が決まっていないと、どのようにデジタルトランスフォーメーションを進めるかを把握できず、活動を始めてからの改善も困難です。最悪の場合、何の成果にもつながらないばかりか、無駄に現場を混乱させるだけになりかねません。

目的を立てる際は、現状の課題の可視化をしてから議論を行います。また、デジタル技術を活用して何かを行うことではなく、顧客視点で新たな価値を創造することを、目的として決めるようにしましょう。

プロセス2:ビジョンの作成と経営層の同意

デジタルトランスフォーメーションを円滑に推進するには、「自社がどのような新しい価値を生み出せるか」「そのために何をすべきか」といった、ビジョンを明確にすることが重要です。ただ明確にするだけではなく、社内外で共有し、従業員に理解してもらう必要があります。

はっきりとした戦略やビジョンがないと、実証実験ばかりがいたずらに繰り返され、本導入に至らない恐れがあります。また、社内外でビジョンが共有されていないと、いざ本導入されても現場に定着しない危険性も考えられます。

ビジョンを作成したり共有したりする際は、特に経営層からの同意を得ることが大切です。経営層が、デジタルトランスフォーメーションについて理解を深めておらず、「今はAI時代だから、AIで新事業を立ち上げろ」といった、現場に丸投げするような漠然とした指示では、上手くいくはずがありません。途中で頓挫しないためにも、経営層にデジタルトランスフォーメーションを行う目的やビジョンを必ず理解してもらいましょう。

また、デジタルトランスフォーメーションに対して、現場の抵抗が大きい場合には、経営者が強いリーダーシップを発揮し、意思決定することも求められます。

プロセス3:DX推進のための体制整備

戦略やビジョン策定に基づき、実際にデジタルトランスフォーメーションに取り組むためには、PDCAを回しつつ仮説検証できる仕組みづくりや、そのチャレンジをサポートする体制づくりが必要です。

これに加えて、デジタル技術やデータ活用に必要な人材の確保・育成にも、取り組まねばなりません。人材の確保には、社外からの人材の獲得のほか、他社との連携も含みます。

また、意思決定のスピードが遅いと動きが鈍くなるので、スピーディーに意思決定できる体制を整えることも求められます。そのため、社長直轄のプロジェクトを立てたり、少人数のチームを組成したりと、トップダウンで変革に取り組むことが有効です。

最後に、体制整備における失敗ケースとして、失敗を恐れて大きな変革を始められないことがあります。デジタルトランスフォーメーションを成功に導くには、従来の目標管理制度や成果主義に固執しない人事評価制度のほか、たくさんの小さな失敗を繰り返しながら学びを得ていく、「Fail Fast」の考え方を育めるような仕組みづくりが重要です。

プロセス4:IT資産の分析・評価

自社システムをはじめとするIT資産が、現在どのような状況にあるのかを評価します。システム全体を俯瞰し、「老朽化・ブラックボックス化したシステムがあるかどうか」「また、そうしたブラックボックスなどはいくつあるか」を確認しましょう。
それによって、現在進行形で生まれている課題まで把握できると、よりよいでしょう。


さらに、全社横断的に「データを活用するために一元管理できているか・システム連携を行いやすいようになっているか・システムを廃棄する必要があるか」などを分析・評価します。組織が成果を出すためには、現状のシステムに対してどのような見直しが必要かを把握し、新しいシステムの導入など改善策を立てます。

先行事例には、以下のような分析・評価が挙げられています。

・業務上、止めても問題のないもの、利用されていないものを半分以上廃棄した
・再レガシー化を避けるため、経営者自らカスタマイズの承認を行う

プロセス5:DX推進する範囲を定め実行

次に、DXを実行する業務範囲を定めて実行をしていきます。
DX推進する部分が決定したら、改めて細かい既存業務の棚卸しを行い、DXを実現した後も業務に漏れがないように進めていきます。

例えば、契約業務のDXを行う場合は、「契約に伴うワークフローの現状」「押印プロセス」「管理プロセス」などポイントではなく全体の業務を細かく確認し、DX実現後に、最初に策定した目的が本当に実現されるかを再確認してください。

▶︎【こちらの記事もおすすめ】契約DXを実現!CLMがもたらすビジネスインパクト。

プロセス6:ビジネスの高度化や拡張

次に、導入したデジタル技術を活用して、既存ビジネスをより高度化させます。プロセス1の時点であらかじめ考えておいた、「デジタル技術を活用し、どんな新しい価値を顧客に提供するか」が実現できるよう、組織体制やコスト構造など、ビジネスそのものの変革を行い、事業を拡張させましょう。

先に紹介した通り、日本ではデジタル技術を活用した、新規製品・サービスの創出を行う企業が、まだまだ少ない状況にあります。電子情報技術産業協会(JEITA)の調査によると、アメリカの企業では、「事業拡大」をデジタルトランスフォーメーションの目的として決めているのに対し、日本企業は「既存業務の収益改善」と捉えている、という事実が判明しています。既存事業を改善させるだけではなく、ビジネスを拡張させて、新規事業にも手を出せるようにしていきましょう。

参照元:米国は「事業拡大」で日本は「収益改善」、JEITA調査でDXの意識に差

プロセス7:PDCAを回す

「PDCA」とは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取ったもので、この流れに沿って、継続的に業務を評価し改善を行う手法です。デジタルトランスフォーメーションも、導入して終わりではなく、継続的に改善していく必要があります。

当初に思い描いていたビジョンを達成できたのか、売上や顧客数が目標値に達したかなど、「定性目標(理想的な状態)」と「定量目標(目標数値)」を確認し、評価を行いましょう。まだ達成できていない部分はどのように改善するのか、達成したものに関しても、今後どのようにさらなるブラッシュアップを行うのかを考えます。そして、議論の結果に従い、またPlanやDoを繰り返していきます。

PDCAは、1年ごとなど一定の間隔で、継続的に実施することがおすすめです。これまでの評価・改善を行う際は、次紹介する「DX推進指標」も参考にしてみてください。

 

出典:デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン (DX 推進ガイドライン) Ver. 1.0

DX実現度がわかる!「DX推進指標(経済産業省)」とは?

経済産業省は、企業の経営者や社内担当者が、デジタルトランスフォーメーションを推進するにあたっての現状や課題を明らかにするために、DX推進指標を定めています。この指標は、自己診断をする際に使用しますが、使い方として以下3点が挙げられています。

1.【認識共有・啓発】
関係者間の認識共有を図り、方向性についての議論を活性化させる
2.【アクション】
次に何をすべきかを議論し、実際のアクションにつなげる
3.【進捗管理】
アクションの達成度を継続的に評価し、進捗を管理する

指標は大きく「DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標」と、「DXを実現する上で基盤となる、ITシステムの構築に関する指標」に分かれており、それぞれ定性指標と定量指標が用意されています。定性指標は、用意されている以下6段階で判断し、具体的なアクションにつなげていきましょう。定量指標は、企業ごとに適切な目標数値を設定します。

【定性指標における成熟度レベル】
レベル0:未着手
レベル1:一部での散発的実施
レベル2:一部での戦略的実施
レベル3:全社戦略に基づく部門横断的推進
レベル4:全社戦略に基づく持続的実施
レベル5:グローバル市場におけるデジタル企業

DX推進指標は、上述の7つのプロセスを実施する際、該当プロセスが適切に行えているかを判断するのに、活用するのがおすすめです。例えば、「プロセス2:ビジョンの作成と経営層の同意」であれば、DX推進の枠組みに関する定性指標の「ビジョン」および「経営トップのコミットメント」を参考にし、以下3点が達成できているかを確認します。

【ビジョン】
・データとデジタル技術を活用して、変化に迅速に対応しつつ、顧客視点でどのような価値を創出するのか、社内外でビジョンを共有できているか
・将来におけるディスラプションに対する危機感と、なぜビジョンの実現が必要であるかについて、社内外で共有できているか

【経営トップのコミットメント】
・ビジョンの実現に向けて、ビジネスモデルや業務プロセス、企業文化を変革するために、組織整備や人材・予算の配分、プロジェクト管理、人事評価の見直し等の仕組みが、経営のリーダーシップのもと、明確化され実践されているか

(引用元:D X 推進指標

そのほか、上述のプロセスごとに見るべき指標の例を、以下にまとめました。

【プロセス1】
DX推進、ITシステム構築の取組状況に関する定量指標

【プロセス2】
DX推進の枠組みに関する定性指標の「ビジョン」および「経営トップのコミットメント」

【プロセス3】
DX推進の枠組みに関する定性指標の「仕組み」、およびITシステム構築の枠組みに関する定性指標の「ガバナンス・体制」

【プロセス4】
ITシステム構築の枠組みに関する定性指標の「ビジョン実現の基盤としてのITシステムの構築」「ITシステムに求められる要素」「IT資産の分析・評価」

【プロセス5】
ITシステム構築の枠組みに関する定性指標の「IT資産の仕分けとプランニング」

【プロセス6・7】
DX推進の枠組みに関する定性指標の「事業への落とし込み」およびDX推進、ITシステム構築の取組状況に関する定量指標

デジタルトランスフォーメーション (DX) の成功事例

では、他社ではどのようにして、デジタルトランスフォーメーションを成功させているのでしょうか。ここでは、3つの事例を紹介します。

FA・スマートファクトリー化を支援:三菱電機

三菱電機では、「e-F@ctory」と呼ばれるファクトリーオートメーションソリューションを提供しています。これは、あらゆる機器に設置したセンサーから取得したデータをクラウドサーバーに送り、AIで分析することで故障検知や稼働状況をチェックできるものです。これにより、リモート操作やセキュリティ・生産性の向上、省エネ化などを実現させています。

契約業務のやり取りや情報を手間なく一元管理:株式会社モルフォ

株式会社モルフォでは、「ContractS CLM」というサービスを導入し、契約の作成から管理までを、システム上で一元化させています。これにより、契約プロセスの可視化や漏れ・ミスの軽減、業務の効率化につながっています。
(参照:契約業務のやり取りや情報を手間なく一元管理

全国15拠点ある事業所の契約情報を一元管理!:日本システムバンク株式会社

日本システムバンク株式会社では、全国に15ヶ所ある拠点において、契約書の管理体制が統一されていない、という課題がありました。しかし、ContractS CLMの導入により、本社で全拠点の契約進捗状況を一元管理することに成功しています。また、過去の契約書もシステム上で管理することにより、検索性が向上したとの結果も出ています。
(参照元:全国15拠点ある事業所の契約情報を一元管理!

DX成功のポイント

DX推進を成功させるには、以下のポイントを意識することが大切です。

 

・経営層と現場が密にコミュニケーションを取る

・DX人材の育成や採用を検討する

・新しい機器やシステムの導入は「手段」であることを忘れない

 

DXの推進は経営層と従業員が一丸となって取り組む必要がある点は、「デジタルトランスフォーメーションのデメリット」でも述べた通りです。

 

また、DX推進には専門的な知識も要するため、ITに関する業界知識や先進技術の知識などに長けた人材も必要になります。

 

そしてDXとして新しい機器やシステムを導入することは、あくまでゴールに向けた手段です。

導入する製品・サービスを選ぶ際は、まず自社の課題とゴールを明らかにして、「それには何が必要なのか」を考慮のうえ吟味しましょう。

政府も企業のDX推進を後押し「産業競争力強化法」が施行


「デジタルトランスフォーメーションの推進が思うように進まない」と悩む企業を後押しするため、政府は2021年に「産業競争力強化法」の法改正を行いました。

 

この法改正により、デジタルトランスフォーメーションを推進した企業は、特別な控除が受けられることになっています。ここでは、デジタルトランスフォーメーション推進を進める上で、押さえておきたい産業競争力強化法について、詳しく解説します。

産業競争力強化法とは?

産業競争力強化法とは、産業競争力の強化に関する施策を総合的、かつ一体的に進めるための法律です。複数回改正されており、直近は2021年に改正されました。

 

そもそも産業競争力強化法が成立された背景には、日本で中長期に渡る経済的な低迷が続いていたことがあります。この状況から抜け出すため、「過剰規制」「過小投資」「過当競争」を是正するよう、2013年12月4日に産業競争力強化法が初めて成立しました。

 

その後、2018年に産業の持続的な発展と、企業の経営基盤強化のため、法改正が行われました。この際、すでにデジタルトランスフォーメーションに関連することとして、IoTやビックデータ、AIなどを短期間で活用するために、「生産性向上特別措置法」が制定されています。この措置法には、デジタルトランスフォーメーションを進めるために、実証に基づいて現行の規制の見直しを行う制度や、設備投資を支援するための措置が盛り込まれました。

 

そして、2021年に改正された内容では、さらなるデジタルトランスフォーメーションを進めるための措置が講じられています。

産業競争力強化法が2021年改正 デジタル化を推進

2021年8月2日、産業競争力強化法を改正するにあたり、「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の一部が施行されました。この法改正は、コロナ禍の後における、長期視点での企業の変革を後押しするために行われ、大きな目的として以下4点が挙げられています。

 

1.グリーン社会への転換
2.デジタル化への対応
3.新たな日常に向けた事業再構築
4.中小企業の足腰強化を促進する措置

このうち、「2.デジタル化への対応」が企業のデジタルトランスフォーメーション推進にあたり、産業競争力強化法のWebサイトでは、「デジタル技術を活用した全社レベルのビジネスモデルの変革(DX)を促進するための措置を講じる」と明記されています。

まとめ

企業が他社との競争で生き残るには、デジタルトランスフォーメーションを実現して、新たな価値の創造を行うことが必要不可欠です。現状、まだ取り組めていない企業も多いため、迅速に取り組むことで優位性を発揮できるでしょう。

 

デジタルトランスフォーメーションの進め方や自己診断の仕方については、本記事で紹介した、経済産業省の提示している資料を参考にしてみてください。

 

契約業務のDX化で
ビジネスの効率を向上!自動化も可能なシステムとは

ContractS CLMは、電子契約及び、契約プロセスの構築と契約管理で契約業務を最適化。電子契約のみならず法務、契約業務にまつわるムダをまるっと解決します。DX化プロジェクトの一環として導入実績のある「ContractS CLM」の資料はこちらからダウンロード可能です。